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第2回「地域の女性リーダー座談会」(いわき会場)【福島県】
第2回(いわき会場)
2023年12月8日にいわき市の「いわき産業創造館」にて、福島県女性活躍促進事業「地域の女性リーダー座談会」の第二回目が開催されました。福島県内で地域活動のリーダーとして活躍している方々を講師に迎え、地域活動を始めたきっかけや目的、活動の悩みなどリアルなお話を聞くセミナーです。
今回の講師は、浪江町に移り住んで地域づくりを行う任意団体「なみとも」代表の小林奈保子さんと、大熊町でコミュニティ支援やイベント企画運営などを行う「HITOkumalab(ヒトクマラボ)」代表の佐藤亜紀さんの2名です。終始アットホームな雰囲気で進んだセミナーの様子をレポートします。
(1)活動発表
任意団体「なみとも」代表小林奈保子さん

小林さんは、福島県田村市出身。2017年4月、浪江町の一部避難指示解除後に浪江町役場職員の夫とともに浪江町に移住しました。移住当初は、町内居住者は200人ほど。若者はほとんどいませんでした。
同じ時期に浪江町に移住した和泉亘さんと出会い、「浪江町で若者が集まれる場所をつくろう、そして、自分自身も町の人とつながっていこう」と、任意団体「なみとも」を2018年に設立しました。2019年には双葉郡の子育てパパママを応援する任意団体「cotohana」も立ち上げ、共同代表として活動しています。
なみともの代表的な活動の一つが、隔月で定期開催する「なみえ会議」。誰でも参加できるオープンな情報交換の場で、行政区長やNPO、社会福祉協議会、まちづくり会社、民間企業など町内で活動する団体が集まり、それぞれが行う事業やイベント情報などを共有しています。
「ハンバーガーを片手に、ぐらいの気持ちで、肩肘張らず参加できる会議」をコンセプトにした誰でも参加OKの「なみえバーガー会議」も不定期開催。「こんなことをやりたい!」と手を挙げた人を中心に、なみともを事務局にして、イベントや活動が始まります。
バーガー会議からは、震災前にぎわいの中心だった新町通りを舞台にしたマルシェイベント「新町にぎわいマーケット」や、請戸漁港の今を知る野外上映会「シーサイドシネマvol.2 in 請戸漁港」などのプロジェクトチームが誕生しています。
なみとも(代表 小林奈保子)
https://www.namitomo.org/
HITOkumalab(ヒトクマラボ)代表佐藤亜紀さん

千葉県出身の佐藤さん。双葉町には母の実家があり、子どもの頃からよく訪れていたそうです。福島に関わりたいと震災後に一念発起し、2014年に大熊町の復興支援員に就任。いわき市で全町避難中だった町民のコミュニティ支援担当の職に就きます。
現在、大熊町の居住人口は1,000人弱で、そのうち帰還した町民は約2割、震災後に移住した町民が1割、残りの7割が東京電力の関係者です。大熊町外には9,800人近い町民が暮らしています。佐藤さんは、そうした多様な状況の人たちの間をまんべんなくつなげる活動をしています。
2019年4月の大熊町の一部避難指示解除とともに町内へ移住。大熊町のコミュニティ支援やイベント企画開催、若者の起業支援などに携わりながら、2022年に「HITOkumalab(ヒトクマラボ)」を開業。「大熊町のつなぎやさん」を名乗り、地域のコーディネーターとして活躍しています。
主な活動は、コミュニティ支援やイベント企画運営、伝統芸能の保存継承、大熊町視察の対応やアレンジ、講演など。チラシのグラフィックデザインや、地元の音楽サークルの運営にも携わりイベントで歌を披露することも。自宅でキウイやニンニクなどの農産物の栽培・販売も行い、2023年からはコメ作りにも挑戦中です。
HITOkumalab(代表 佐藤亜紀)
https://akisatookuma.wixsite.com/hitokumalab
(2)座談会
チームづくりのコツを教えてください
小林:
自分がやりたいと思っていること、実は気になっていることなどを、周囲の人に「しつこく伝え続ける」ことが大事です。言い続けた結果、人が集まり、今のなみともの活動につながっています。
佐藤:
団体は人数が増えれば増えるほど、気の合う人たちで集まるようになるんですよね。なので、自分に合う場や団体を見つけることも大事だと思います。
私自身、立ち上げるよりも仲間に入れてもらってる方が数は多いです。勉強させてもらうつもりで、趣味趣向や人柄が合うところにまずは入ってみる。合わないで抜けることももちろんあるけど、そこから派生していくこともたくさんあると思います。
長期的な仲間とのコミュニケーションやモチベ―ションの維持方法はありますか?
佐藤:
常にメンバーで共同作業をし続けることでしょうか。飲み会では「あの時はあぁだったねぇ」と、共通の話題で振り返ることもできます。
私はおじさん世代の方とチームを組むことが多いので、年配の方が多い集まりでは、笑いを絶やさないように立ち回りつつ、決めるべきことはしっかり決められるよう、会の進行を工夫しています。全ては「うまい酒を飲むために!」です(笑)
仲間づくりで大事にしていることを教えてください
佐藤・小林:
チームメンバーはひとりでは決めず、必ず仲間と相談して決めます。
町の中での立場やどんな評判かを調べて、あらかじめ配置してシミュレーションして、想定されるトラブルを排除していきます。
というのも、それぞれとてもいい活動をしている人たちでも、同じチームだと相性が合わないこともあります。間に入ってもらえそうな人に声をかけたり、事前に1対1で丁寧に説明するなどして、裏側で調整します。
そうすればチームで最大限のパフォーマンスを発揮できますし、メンバーのやる気も保たれます。
仲間の人数はどれくらいがベストでしょうか?
小林:
なみとも主催の「にぎわいマーケット」は比較的規模の大きいイベントですが、事務局のトップは3〜4人で、大事なことや大枠を決めています。全体会に参加する10〜15人の実行委員会メンバーに会議の場で意見をもらい、役割を任せています。3年目にしてようやくこの形に落ち着きました。
浜通りでイベントを円滑に実行するための工夫はありますか?
小林:
イベント前に「浪江町のことわからないので、色々教えてください!」という姿勢で、地域の区長さんや商工会関係の方、地主さんなどに軽くご挨拶にいったりしますね。
私のような外部の人間がイベントを開催する場合、地元民の反応は大抵二分します。
「そんなのやらなくていい」と出る杭を打たれるか、「町がさみしいから、新しい事をどんどんやってちょうだい」と歓迎されるか、どちらかです。浪江町だと出る杭を打つというのはあまり聞きませんが、地元の方々が味方になってくれれば、物事の進展が早いですね。
佐藤:
大熊町は、今町に住む人の何倍もの人が避難先に住んでおり、この地域ならではの複雑さがあります。現大熊町民、移住者、避難先の人たちが交流するきっかけ作りになるのがイベントなので、「避難先とも離れないようにしてます」という行動を大事にしています。そのため、イベントのチラシは大熊町内だけじゃなく、いわきなど避難先まで行き届くように各自治体の広報誌に挟んでもらいます。「双葉郡あるある」ですね。
かつては避難先でのコミュニティづくりのお手伝いをしていたこともあり、元々つながりがあってラッキーでした。この縁を大事にして、新しく大熊町に入って活動する人たちと地域住民とをつないでいきたいです。
行政や町役場、議員の方々ともつながりがありますか?
佐藤:
現職の大熊町議会議員さんたちとは普段から付き合いがあり、良い関係を保てています。
小林:
浪江町在住の議員さんの半数は避難先の町にいらっしゃいますが、浪江町在住で若い人たちの応援をしてくれる議員さんもいるので、世間話の機会がある度に、なみともでやりたいことを話題に出しています。
イベントや会議で場所を借りる必要があるため、活動と行政は切り離せませんね。役場のキーパーソンとはかなり密に情報交換をしています。
家庭との両立はどのようにしていますか?
小林:
4才の子どもを子ども園に通わせていますが、平日の延長保育や土日預かりはありません。預かってもらえる時間の中で、なるべく先回りして予定を済ませることを心がけています。託児付きのイベントや、運営から離れたスタッフの時には子どもを連れて行くときもありますね。
夫の理解は必要不可欠で、数ヶ月先までの土日の予定を共有して、シフト管理しています。夫は「やりたいことをやったらいいんじゃない?」と言ってくれています。 地域の人たちには「活動を続ける上で、一番は自身の健康や体調を、次に家族を優先します」と触れ回っています。
佐藤:
私は夫と40代2人暮らしで子どもはいないため、わりと自由に動けます。夫は私の活動を応援してくれていて、突発的な飲み会や泊まりが入っても「行っておいで」と送り出してくれます。
イチゴ栽培施設で働く夫は昼に帰宅することも多いので、なるべく朝昼晩の食事を一緒にとり、夫との時間も大事にしています。
座談会を振り返って
地域で活躍する女性リーダー座談会の様子を2回に渡ってご紹介してきました。4名とも、想いに共感してくれる仲間を集め、地域に根差して活動しながらも、家庭を大事にするという部分は共通していました。
この座談会の参加者もまた、地域で活躍することを目指す女性たち。このセミナーを通じてつながりができることで、より一層、福島県内の地域活動の輪が広がっていくことでしょう。
福島県内の地域活動に興味のある方は、ぜひ4名の活動をチェックしてみてくださいね。
ライター:齋藤 幸子


