Workers
福島の魅力を、外へ。「福島に生まれてよかった」と胸を張れるまちをつくる
-
金澤 千裕さん
(一社)福島市観光コンベンション協会 ロケ誘致ディレクター コンテンツマーケッター
- 福島市出身、福島市在住。45歳。
福島大学を卒業後、民間企業、役場の臨時職員、専業主婦を経て、福島市観光コンベンション協会に所属。ロケツーリズムのコーディネートや、ふくしまピーチホリデイの企画などに携わる。中学生と小学生の2児の母。
Q1.現在のお仕事内容とこれまでのキャリアを教えてください。
福島市観光コンベンション協会で、福島市のロケツーリズムのコーディネートを担当しています。映画やドラマなどの撮影を誘致し、作品を通して福島市を知ってもらうことで地域の観光につなげる取組で、制作会社へのロケ地の提案や撮影の受け入れなどを行っています。
また、福島市の桃をはじめ、旬の果物を主役にした観光・グルメキャンペーン「ふくしまピーチホリデイ」の企画を立ち上げ、農家さんや飲食店の方々と関わりながら、福島の魅力の発信にも取り組んでいます。
福島大学を卒業後、コピー機などのOA機器を扱う会社の福島事業所で営業職を7年8ヶ月経験しました。2011年の結婚を機に退職し、夫の転勤でいわき市、金山町へ。その間、東日本大震災や豪雨災害のボランティア活動、金山町役場の臨時職員を経験し、地域やまちづくりについて考え始めるようになりました。
第一子の出産後に夫の転勤で福島市に戻り、専業主婦として子育てに専念していました。そんな中、子育てサークルで出会った観光コンベンション協会で働くママ友から、「観光案内所で働いてみない?」と声をかけてもらいました。旅行が好きなのでやってみたい気持ちがある一方、未経験の観光業と子育ての両立への不安もありました。家族に相談したところ、「やってみたら」と背中を押してくれたため、週末に数時間からという無理のない形で仕事を再スタートしました。
その後、2019年に福島市がロケツーリズムを推進することになり、観光コンベンション協会から専任の担当者を置くことになりました。営業職や海外旅行の経験からフットワークの軽さを買われ、ロケツーリズムの担当を任されました。
Q2.未経験の観光分野で、どのように仕事を進めてきましたか?
観光コンベンション協会としても新しい取組だったため、福島の観光にどう波及させていくかを自分で考え、動いていく必要がありました。未知の分野でしたが、福島市役所の方とともに東京で開催されているロケツーリズム協議会に参加し、他市町村の事例や実地で学び、関係者に密に相談しながら仕事を覚えていきました。
コロナ禍で観光客やロケ隊が福島に来られない中、「ここをチャンスに変えて、新しいプロジェクトにじっくり取り組もう」と考え、有識者の方々にアドバイスを頂きながら、知名度の高い桃を軸に福島市の魅力を発信する企画を立ち上げました。
農家さんや飲食店の方々に話を聞く中で、地域の課題や農家さんの想いを知り、「福島市の桃の魅力や現状をもっと多くの人に伝えたい」という想いが強くなりました。そこで生まれたのが、規格外を含む桃を地域に循環させ、飲食店や宿泊施設で福島の桃を楽しんでもらう「ふくしまピーチホリデイ」です。2022年に第1回を開催し、参加者から「こんな企画を待っていた」という声や温かい応援をいただき、「やってよかった。間違ってなかった」と実感しました。その後も毎年ブラッシュアップを重ねながら企画を育て、2026年で5回目を迎えました。
仕事をする上では、地域住民、観光客、事業者など、それぞれにWinがある「三方よし」の考え方を大切にしています。すべての方にとって良い企画をつくることが、持続的な地域観光につながると思っています。

Q3.今の仕事の魅力は何ですか?
福島市の農家さんや事業者さんと直接関わっているからこそ、福島の魅力を自信を持って首都圏の映像制作会社などに伝えることができ、それがロケ地の決定に繋がったときはとてもやりがいを感じます。
「ここでしか撮れないものは何か」という視点で地域を見る制作会社の方から、外からの視点をもらうことで、地元の魅力を改めて発見することもあります。福島市にいながら、地域の中だけでは得られない視点や人とのつながりを持てることも、この仕事の魅力だと感じています。
Q4.仕事と家庭はどう両立していますか?
ロケの仕事は時間や場所が不規則で裁量が大きく、休みも不定期のため、土日は夫に子ども達の見守りをお願いしたり、市内で暮らす実家の両親にも協力してもらったりしています。家族の理解とサポートがあるからこそ、今の仕事を続けることができています。
私自身、仕事とプライベートの間にあまり境界線を引いていません。日常が仕事の延長になっていて、それも含めて楽しみながら働いています。私がそのような生活を楽しむ姿を見て、家族も一緒に楽しんでくれています。子どもたちと一緒にピーチホリデイの参加店をめぐり、福島のおいしいものを食べたり、事業者さんのお話を聞いたりする機会もあります。そうした体験を通して、子どもたちの探究心が育っていると感じます。
以前、果樹農家さんから「桃は触っただけで傷ついてしまう」と聞いた子どもが、「桃を触らないで」と書いたポスターを自分で作ったことがありました。後日、果樹園に持っていくと、とても喜んで飾っていただき、「自分がやったことで、こんなに喜んでもらえた」と、子どもの自信につながったようです。
子ども達が小さい頃から福島の魅力に触れることで、将来「福島に生まれてよかった」と思ってもらえるような町にしていきたいと思っています。

Q5.今後挑戦したいことと、福島で自分らしいキャリアを築きたい女性へのメッセージをお願いします。
今後もロケ誘致などを通して福島市を知ってもらい、地元の飲食店や事業者さんにスポットが当たる展開を広げていきたいです。また、事業者さんの「やってみたい」を形にし、人と人をつなぐ架け橋にもなりたいと考えています。
私の場合は、これまで経験してきたことは、何一つとして無駄ではなく、一つひとつが今の仕事の強みになっています。
過去の経験も、今直面していることも、これからの経験もすべてが自分だけの強みになると信じて、今を大切に、目の前のことを全力で楽しんでもらえたらと思います。

・私を支えたコンテンツ(一曲・一冊・番組など)
ミステリー好きの家族みんなで、「名探偵コナン」を楽しんでいます。
・私の最初の一歩(最初に起こした具体的なアクション)
まずは家族に相談すること。なんだかんだで一番迷惑をかけるのも家族なので、先に家族という味方をつくっておくことが大切だと思います。
学生インタビュー 塩原京さん(福島学院大学2年)

Q. 地域の方と連携するうえで、普段から心がけていることはありますか?
普段から地域の方との信頼関係を築いておくことです。
例えば、撮影で道路を使用するため、一時的に通行止めをすることがあります。普段から連携が取れていることで、快く協力していただけるため、撮影もスムーズに進みます。
Q.コミュニケーションをとるうえで、大切にしていることは何ですか?
事業者さんたちがやりたいことを実現するためにも、まずは自分から声をかけること、そして傾聴することを大切にしています。
相手の話をよく聴き、「もっとこの人のことを知りたい」という気持ちが伝わるように意識しています。相手に興味を持っていることを示せるように質問をし、そこから自分の話も加えるようにしています。
Q.地域に貢献するために、学生でもできることはありますか?
学生とつながりたい、学生のリアルな声を聞きたいと思っている事業者さんは多いです。ただ、どうすれば学生とつながれるのか、模索している方もいます。
学生自身が地域の活動に飛び込んでみることで、事業者さんとのつながりが生まれると思います。まずは一歩踏み出して、コミュニケーションをとってみることが大切です。
インタビューを終えて
福島への愛が強く、「子どもたちが生まれてよかったと自信をもって言えるようなまちを目指す」という目標に心を打たれました。
私も将来、子どもたちに「地元が福島でよかった」と思ってもらえるようにコミュニケーション能力を磨き、なんでも積極的に参加できるような学生になります。学生のうちに、素敵な働き方のお話を聞けて、とても勉強になりました。
(2026年9月取材)
(インタビュアー:櫻井 恵理 撮影:古関 マナミ)
基本情報
- 企業・団体名
- (一社)福島市観光コンベンション協会
- 代表者
- 坪井 大雄
- 事業内容
- 福島市の観光振興に関する事業全般
- 所在地
- 福島県福島市五月町10-17 酪農会館303
- FAX
- 024-563-5915