まずは自分を信じてあげること。必ず道は拓ける

Q1. 社長になった経緯と、仕事内容を教えてください。

私は3人姉妹の次女で、もともと家業を継ぐ気はありませんでした。その考えが変わったのは、震災後に避難した新潟で、パートとして雇ってもらった会社の社長に出会ってから。家業について相談するうちに「あなたは経営者に向いている」と背中を押してもらい、継ぐことを決意しました。

入社時は震災の影響もあって大幅に受注が減り、赤字状態が続いていました。不採算事業の撤退や組織改革などを行いながら、利益を生む自社製品の開発に着手し、「う米めん」の生産・販売を開始しました。

Q2. 「う米めん」はどのような想いで開発したのですか？

「う米めん」は米粉とデンプンのみでできていて食品添加物フリーなので、小麦アレルギーの方でも食べられます。以前介護現場で働いていたこと、子どもが乳幼児期に食物アレルギーがあったこと、私自身が一時病気で入院を繰り返した経験を通して、食べることの楽しさと大切さ、健康の大切さを身をもって実感しました。そんな経験から、誰でも安全に食べられるものを作りたいと思い、開発しました。

Q3. 仕事と家庭はどう両立していますか？

入社当初はシングルマザーで、決して両立できていたわけではなく、子どもに寂しい思いをさせてしまいました。今でも仕事と家事育児のバランスをとるのは難しいです。仕事が立て込んで心に余裕がなくなってくると、パソコンのデスクトップや家の中が散乱し、頭の中の考えがまとまらなくなり、子どもともうまくコミュニケーションをとれなくなり心配事が増えるなど、いろんなところに影響が…。

心がけているのは、人に頼ることと、やらない事を決めて休むこと。今は再婚した夫や同居を始めた両親に大いに助けてもらっており、大分楽になりました。

Q4. 女性経営者としての今後の目標、ビジョンを教えてください。

近々、電子機器事業の方でクリーンルームを備えた工場の新設を計画しています。製造拠点の国内回帰の傾向など情勢を見極めながら、より多くの仕事の依頼に対応できるようになればと考えています。そして会社を、社員の皆さんが安心して過ごせて、自身も高めていけるような場所にしていきたいですね。

個人的には語学や経営者としての勉強も続けています。女性であることを活かしつつ、経営者としてどんな方とも対等にかかわりあえる自分になりたいです。

Q5. 経営者を目指す女性へメッセージをお願いします。

自分を信じて、ブレない心、突き進む強さを養っていってください！何の取り柄もなかった私が変われたのは、人との出会いをきっかけに自分を信じてあげられるようになったからです。打ちのめされても、立ち上がることを諦めないでください。必ず道は拓けます。

（2023年7月取材）

（インタビュアー：貫井　暖香　　撮影：古関　マナミ）