男性育休取得のカギは風土づくり。女性社員の取組が、理解ある職場を作っていく

小野哲志(左) 大津洋美(右)

いわきエコ・パルプ株式会社

小野哲志 燃料資材課燃料供給担当
いわき市出身、32才。高校卒業後、小売業の営業職、産業廃棄物中間処理業などを経験し、2020年にいわきエコ・パルプに入社。ボイラーに燃料を入れる燃料供給を担当。6人目のお子さんが生後5ヶ月の時に14日間の育休を取得。6児の父。

大津洋美 業務グループ主任
茨城県北茨城市出身、48才。2008年にいわきエコ・パルプに入社し、総務人事関連の仕事を担当。働きやすい職場を整えるため、様々なセミナーにも積極的に参加。2023年1月に主任に就任。1児の母。

Q1. 男性の育児休業取得率100%の取組はどのように進めてきましたか?

2022年4月に育児・介護休業法が改正(※)されたのをきっかけに、男性が育児休暇を取りやすい体制を整えました。まずは社長から管理職が参加する会議で周知してもらい、私からは、該当者が出た時に管理職や現場責任者に声掛けをし、育休中のシフト調整などの協力を得られるようにしました。本人には、育休中の賃金や社会保険料など金銭面についても説明し、安心して育休を取得できる風土づくりをしました。人員調整など現場の方が一番大変だったと思いますが、社員皆さんの理解と協力のおかげで、昨年度は該当者全員の4名が7~14日間の育休を取得できました。
※育児・介護休業法改正により、育休取得該当者への周知・意向確認が義務づけされました。

Q2-1. 育休を取得したきっかけを教えてください。

当初は、自分が育休を取ることで職場のまわりの方々に迷惑をかけてしまうのではないかと正直迷っていました。決め手になったのは、上司や同僚からの「休んでいいよ。家族を大事にしなさい。」との温かい言葉でした。育休を妻や子どもたちに伝えると、とても喜んでくれました。

Q2-2. 育休中はどのように過ごしていましたか?

赤ちゃんのお世話が中心でした。夜中はオムツ交換やミルクをあげて、妻になるべく休んでもらえるよう心がけました。上の子たちの食事作りもしました。一番大変だったのは朝ですね。小学生の子どもたちを送り出し、幼稚園へ送ってとすごく忙しかったです。

Q2-3. 育休を取得してよかったことを教えてください。

6人目の子どもで初めて育休を取得したのですが、子どもが初めて言葉を発する瞬間や、つたい歩きが上手になる過程など、成長を妻と二人で見ることができてよかったです。
また、育休中に職場の仲間が定期的に業務報告など連絡をくれたことで、育休後スムーズに業務に戻れました。仲間を気遣う思いやりの心が大切だと気付けたのも、育休を取得してよかったことです。

Q3. 仕事と家庭のバランスはとれていますか?

残業が少なく、有給も取りやすいので、仕事と家庭のバランスはうまくとれています。当社は社員の有給取得率93.5%と休みを取りやすい環境です。社員が一人で複数の業務を担えるよう資格取得や社内教育を進め、業務が特定の人に偏らないよう調整したり、誰かが休んでもサポートできる体制を整えています。(大津)

私も残業はほぼ無いですね。帰宅後、子どもの習い事の送迎をしたり子どもと一緒に入浴したり、家族との時間を持つことができています。育休中に妻が普段一人でやっていることを経験して、妻への感謝の気持ちがより強くなりました。夜勤明けで朝に帰宅した後も、掃除や洗濯など自分ができることをしています。(小野)

Q4. 今後の目標を教えてください。

社員が働きやすい職場環境をより充実させたいです。最近は働きながら不妊治療を受ける方も増えているので、仕事と治療が両立できるよう、不妊治療休暇・不妊治療休業の支援制度も導入予定です。(大津)

最近第一種大型免許を取得し、ダンプを運転できるようになりました。ボイラーに入れる燃料を保管場所へ運ぶなど、仕事の幅が広がりモチベーションがあがりました。まずは与えられた仕事を完璧にこなし技術を身に着け、数年後には人に教えられるようになりたいです。(小野)

Q5. これから男性育休取得促進に取り組む企業、育休を取得する男性へメッセージをお願いします。

私が子育てをしていた時は、仕事と家事・育児の両立に大変苦労しました。今は、男性の育児休暇制度が手厚くなっているので、積極的に利用し育児休暇制度を導入してほしいです。
新たに取り組む企業の方は、風土づくりが大事だと思います。社長も巻き込んで、上司や同僚の理解を得るところから始めてみてください。(大津)

育休を勧めてくれたり、復帰後、「おかえり、待ってたよ!」と迎えてくれた理解ある職場のおかげで取得できました。
みなさんにも育休を取得し、子どもの成長の「その時、その一瞬」を家族で共有できる幸せを実感してもらいたいです。(小野)

(2023年10月取材)

(インタビュアー:片平 梨江  撮影:古関 マナミ)

基本情報

企業・団体名
いわきエコ・パルプ株式会社
代表者
代表取締役社長 小西 章
事業内容
いわき大王製紙㈱のバイオマスボイラーの燃料、紙製造に関わる原料・薬品、資材の受入・保管・横持ちに関わる業務、古紙・燃料の破砕業務、古紙・燃料のデリバリー業務、環境整備などの業務を行っています。
所在地
福島県いわき市南台4丁目3番6号
FAX
0246-62-0024