interview

インタビュー記事

Company

女性の声が売り場を変える。地元に寄り添うスーパー、リオン・ドールの働き続けられる仕組みづくり

地濃知広さん(左)長島 あゆみさん(右)

株式会社 リオン・ドール コーポレーション

地濃(ちのう)知広さん 人材教育部 部長/社会貢献室 リーダー/すくすくちびっこ園 園長
新潟県新潟市出身、49歳。専門学校卒業後、1997年に「にいつフード」へ入社。その後、本部管理部にて人事・総務・経理・システムを統括。2018年3月に企業主導型保育所を立ち上げ、園長を兼任。2022年6月、にいつフードとリオン・ドール コーポレーションが資本業務提携。2024年5月より、同社人材教育部部長としてグループ全体の人事を担う。現在は新潟市在住で、福島と新潟を行き来しながら業務にあたっている。

長島あゆみさん 人材教育部 採用教育・社会貢献室担当チーフ
会津若松市出身、26歳。大学卒業後、2022年に新卒入社。1年目は販売部・会津アピオ店フロア部門に配属。2年目より人材教育部へ異動し、地域に密着した食育・社会貢献イベントの企画・運営を担当している。

Q1. 現在のお仕事と役割を教えてください。

地濃さん:グループ全体の人事を中心に、人事・労務・総務を横断する業務の統括を担っています。採用や人材育成、制度設計、働き方に関する仕組みづくりなど、会社の土台を整える役割です。また、新潟にある企業主導型保育園の園長も兼任し、園の運営にも関わっています。
拠点や職種が異なる社員が多い中で、共通の考え方やルールを整理し、グループ全体が円滑に機能するよう支えることを意識しています。

長島さん:私は、社会貢献イベントの企画・運営を担当しています。昨年で25回目を迎えたキッズ料理教室をはじめ、収穫や野外炊飯を行う自然体験イベント、絵本作家を招いたアートワークショップなど、内容は多岐にわたります。準備や調整など地道な仕事が中心ですが、子どもたちの新しい気づきや成長につながる場をつくれることにやりがいを感じています。

Q2. 女性の声を活かすために始まった「アーク・アン・シエル」プロジェクト立ち上げの背景と概要を教えてください。

地濃さん:お客様の多くを占める女性の感覚を、売り場づくりや商品提案に反映させたいという思いから、「アーク・アン・シエル」プロジェクトが立ち上がりました。 フランス語で「虹」を意味する名称の通り、部署や役職の異なる7名の女性が集まり、店舗・本部・お客様をつなぐ架け橋として、女性目線のマーケティング活動を行っています。2022年末に結成され、2025年2月から本格始動しました。 店舗で働く約30名の女性による「店舗女子チーム」とも連携し、現場の声を共有しながら、売り場づくりに反映させています。女性店長も増えてきており、管理職層と現場の女性がつながることで、より生活者目線に近い売り場づくりが進んでいます。

アーク・アン・シエルプロジェクトの会議では、様々な年代で意見を出し合う

Q3. プロジェクトや日々の仕事を通して、女性目線のアイデアが会社や売り場に活きていると感じる場面はありますか。

地濃さん:アーク・アン・シエルでは、社内モニター制度を導入しています。店舗女子チームのメンバーに自社商品を試食してもらい、忖度のない意見をアンケートで集め、商品部へフィードバックしています。
常温保存が可能な「LL牛乳(ロングライフ牛乳)」の事例では、売り場展開や販促方法を工夫したことで、1か月間で売上が前年の5倍以上に伸びました。
プラス1品として手に取ってもらうためには、まずは存在を知ってもらうことが重要です。パン売り場の近くにLL牛乳を配置するアイデアは、実際の利用シーンを具体的に思い描いたうえでの提案だと感じています。
ほかにも、店舗内でベビーカーでも通りやすい通路、子ども連れでも選びやすい商品配置、忙しい時間帯に助かる惣菜など、日常の負担を少しでも軽くする工夫が、売り場改善につながっています。

パン売り場の近くにLL牛乳を配置するアイデアも

Q4. 立場や年代の違う女性同士が関わる中で、お互いに学びや刺激になっていると感じることはありますか。

地濃さん:年上の女性からは、仕事への向き合い方や人間関係の距離感、長く働き続けるための工夫など、経験に裏打ちされた視点を学ぶことができます。一方で、若い世代の女性からは、新しい価値観や柔軟な発想、デジタルツールの使い方などに刺激を受けます。ライフステージの違いを知ることで、「今の自分」だけでなく「これからの自分」を考えるきっかけにもなっています。

長島さん:私は、子育て経験のある先輩から、イベント運営における衛生面や安全面、子どもの目線に立った配慮について多くのアドバイスをもらいました。自分にはなかった視点を学べる環境だと感じています。また、役職に関係なく「さん付け」で呼び合う社風もあり、意見を伝えやすく、若手でも発言しやすい雰囲気があります。

Q5. 仕事と家庭・生活を両立しやすいと感じる点はどこでしょうか。

地濃さん:私は現在、新潟に住みながら、福島と新潟を行き来して働いています。リモートワークを活用することで、場所にとらわれずグループ全体の仕事に関わることができています。
こうした働き方を支えているのが、昨年導入したフレックスタイム制です。コアタイムを設けつつ、1か月の所定労働時間の範囲内で勤務時間を各自が調整できる仕組みです。曜日によって業務量に差が出やすい小売業の特性に合わせ、実験店舗での成果を踏まえて本部にも展開しました。
さらに副業も解禁し、本業に支障のない範囲で挑戦できるなど、多様な働き方を選べる環境づくりが進んでいます。

長島さん:フレックスタイム制によって、忙しい時期と落ち着いた時期の調整がしやすくなりました。繁忙期以外は早めに退勤して、ジムや買い物、美容室へ行くなど、プライベートの時間も確保しやすくなっています。

Q6. 今後の目標を教えてください。

地濃さん:人事の責任者として、グループ全体を俯瞰しながら、各社・各事業の特性に合った人材育成と働きやすい環境づくりを進めていきたいです。特に今後は、女性管理職の割合を増やすことが目標です。仕組みや制度を継続的に見直し、長く働き続けられる環境をつくっていきたいです。

長島さん:これまで先輩方が大切に続けてきた社会貢献活動を、責任を持って引き継いでいきたいです。なかでもキッズ料理教室は25回以上続く取り組みで、「兄が参加していたから憧れていた」「次は妹や弟が参加する番」と、兄弟・世代を超えて受け継がれていることに積み重ねの重みを感じています。今後はこうした取り組みに加え、地元の食材や伝統的な料理をテーマにした企画にも挑戦していきたいです。

世代を超えて親しまれている食育イベント「キッズ料理教室」の一コマ

Q7. 女性活躍に取り組む企業や県内で働きたい女性へメッセージをお願いします。

地濃さん:地域に根ざした職場が長く続くためには、地域で働き続けたい人が安心してキャリアを積める環境が欠かせません。そのためにも、女性が働きやすく活躍できる仕組みは、時代や生活の変化に合わせて見直していく必要があると感じています。
大きなことを一度に変えるのではなく、無理のない形で一歩一歩進めていくことが、結果として働きやすさの改善につながっていくと思います。

長島さん:私は進学で東京に出ましたが、コロナ禍で地元に帰りたくても帰れず、家族にも会えない時期を経験したことで、自分の望む働き方を改めて考えるようになりました。東京の生活は刺激も多く魅力的でしたが、私にとっては、落ち着ける場所で暮らしながら働くこと、そして地域とつながりを持てる働き方のほうが大切だと気づきました。
県内で働くことを考えている女性の皆さんと、同じ目線で悩みや喜びを分かち合い、一緒に仕事ができたらうれしいです。

学生インタビュー 庄條のりさん(会津学鳳高校 2年)

Q.リオン・ドールの理念「失敗の自由」をどんな時に感じますか?

長島さん:リオン・ドールの店舗の売り場設計にはマニュアルがありません。そのため失敗を恐れず自分で考えて、アイデアを活かすことができます。過去に、店舗で働いていた時、野菜ジュースを入り口付近にタワー上に積み上げ、お客様に手に取ってもらいやすいように工夫しました。

地濃さん:考えすぎてしまうと、動き出すことに勇気が必要になってしまいます。「間違ったら直せばいい」と失敗を恐れないことが、動き出す力になっています。

Q.実際にUターンをして就職してみていかがでしたか?

長島さん:自分が長く暮らしてきた会津で親と共に住み続けられることに喜びを感じています。また、人事部に異動し、社会貢献事業に携わる中で、自分が子供のころ参加する側だったイベントを今度は自分が運営していることがとても感慨深いです。

Q.今後どのようなスーパーでありたいですか?

地濃さん:どんなに小さな店舗でも、無くなってしまったらその地域の人々の生活が不便になってしまいます。だからこそ、地域の方々の食のライフラインを支え続けたいです。

長島さん:社長である小池さんも「スーパーはインフラ」とおっしゃっています。生活に欠かせないものをなくさないように努力していきたいです。

Q.リオン・ドールで働くうえで、やりがいは何ですか?

長島さん:ワークライフバランスが整い、仕事も生活も充実したことでより仕事にやりがいを感じています。リオンドールでは、どういった職種が向いているか一人一人に合わせて配属されます。自分が見つけた自分の伸ばしたい部分と自分に向いていることを見つけて、それに合わせた職種で働けるので、仕事に対してやりがいを感じています。

地濃さん:初めて配属された場所は生鮮売り場で、最初はなかなかモチベーションを上げることが難しかったのですが、お客さんとの対話を重ねる中で反応がダイレクトに返ってくることにやりがいを感じました。また、長い間働いてきて、保育園や介護分野など様々な場所に配属され、いろいろなことを経験できることがやりがいだと感じています。

編集後記

今回のリオン・ドールさんのインタビューを通して一番感じたことは「働く大人のかっこよさ」でした。
リオンドールさんでは個々に合った職種に配属される仕組みや、フレックスタイム制での勤務など働く環境を整える制度がたくさんありました。そして、インタビューの中でお聞きした、長島さんの「ワークライフバランスを充実させることが大切だ」という言葉がとても印象的でした。仕事と私生活、どちらか一方だけを頑張るのではなく、どちらも大切にするという積み重ねが、結果的に仕事も人生も豊かにしていくのだと感じました。リオン・ドールさんが掲げている「失敗の自由」という理念のもと、支え合いながら自分のアイデアを活かしてお仕事をされているかっこいい姿を見て、将来に向けて進路を決める一歩を踏み出す勇気を頂きました。長島さんや地濃さんのように、胸を張って「この仕事にはやりがいがある」と言える大人になりたいと強く思いました。

私たち高校生は地元企業について知る機会があまりありません。多くの人が県外進学・就職を考えている中で、地元福島に個々に合わせた働き方ができる企業があることを知る機会が増えてほしいです。

 

~女性活躍応援企業ワンポイント質問~
・我が社の女性活躍推進(ワーク・ライフ・バランス推進)アイテム

①企業主導型保育園
365日開園の企業主導型保育園を新潟と福島の2か所で運営しています。土日祝日や年末年始も利用でき、職員は月額5,000円で預けられる点が特長です。離職防止や復職のしやすさにつながり、女性が長く働き続けられる土台になっています。

会津若松市のリオン・ドール保育園

②簡単調理商品・惣菜の充実
「やわうま」シリーズや魚デリ、減塩仕様の優しいお惣菜など、仕事や子育てで忙しい女性の食卓を支えるため、焼くだけ・温めるだけで完成する簡便商品や惣菜を充実させています。

・我が社の誇る、女性活躍推進キーパーソン

販売部執行役員 会津地区担当 白井 祐美さん
新入社員から現場経験を重ね、店長、地区統括を経て、現在は執行役員として活躍するアーク・アン・シエルプロジェクトのリーダーです。会津地区を巡店し、売り場やスタッフに寄り添いながら改善を重ねる姿勢は、多くの女性社員のロールモデルとなっています。

(2026年1月取材)
(インタビュアー:齋藤幸子  撮影:古関マナミ)

基本情報

企業・団体名
株式会社 リオン・ドール コーポレーション
代表者
代表取締役 小池 信介
事業内容
スーパーマーケット、ビデオレンタル、CD・書籍販売等
所在地
福島県会津若松市栄町2番14号(本社)
TEL
0242-26-2111
FAX
0242-28-7028
URL
https://liondor.jp/