男性育休は父親として成長するために必要な時間。社会の変化を受け入れ「当たり前の選択肢」に
齋藤一樹(左) 阿部千恵(右)
ムネカタ株式会社
齋藤一樹 ツール 設計チーム
福島市出身、二本松市在住。28歳。日本大学工学部機械工学科を卒業後、2018年に設計士として入社。2023年4月に第一子が誕生し、19日間産後パパ育休を取得。グループ全体では男性育休取得第3号。
阿部千恵 統括本部 ヒューマンリソースチーム セクションリーダー
会津若松市出身、福島市内在住。41歳。2005年に入社し、約2年間の経理業務を経て人事部へ異動。給与・社会保険業務等の労務全般を担当し、ハラスメント対策や健康経営にも力を入れている。2021年に育児休業を1年間取得し、職場復帰後は時短勤務制度を利用しながら、3才の子どもを育てる。
Q1.男性の育児休業取得の取組について教えてください。
福島本社、大阪・岐阜支社のグループ全体で、女性産休・育休取得率、産後復職率100%を達成している一方で、男性育休に対する理解はなかなか進まず、5年ほど前までは男性育休取得者はゼロでした。そこで、育児・介護休業法が改正されたタイミングや、年に一度の研修などで周知を進めながら、社員一人ひとりへのヒアリングを通して育休取得の意向を確認するなど、人事へ相談できる環境を整えていきました。その結果、現在では年間1~2件の男性育休取得実績ができています。(阿部)
Q2.育休を取得したきっかけ、育休前に準備したことを教えてください。
グループ会社内で初の男性育休を取得した同僚が同じ部署にいたため、「僕もとれたらいいな」と育休を申請しましたが、技術的な設計の仕事は引継ぎが難しいため「とれなくてもしょうがない」位に考えていました。ところが、生まれたばかりの娘の顔を見た瞬間、言いようのない感動を覚え、「この時期は今しかない。絶対育休をとろう!」と思い直したのです。チームに協力を仰いで、19日間の育休を取得できました。引継ぎ資料を作るのは大変でしたが、いずれ後輩に技術継承する時の下地作りもできて一石二鳥でした。(齋藤)
Q3.育休中はどのように過ごしていましたか?
妻の実家で育児に奮闘していました。初めて子どもが私の手からミルクを飲んでくれた時、「本当に父親になったんだ」と実感が湧きましたね。夜間の頻回授乳はハードでしたが、寝不足になりながら妻と交代で乗り切ったのも良い思い出です。育児の大変さを身をもって体感できた育休は、僕自身が父親になるために必要な時間でした。妻からも「育休を取ってくれてよかった」と喜んでもらえました。(齋藤)
Q4.職場復帰後、仕事と家庭は両立できていますか?
仕事と家庭の両立はなんとかできています。共働きの妻との対話を大切にしていて、保育園からの急な呼び出しなどの時は、お互いの仕事の緊急度をすり合わせて順番に休んでいます。現在、同じく子育て中の設計チーム3人で仕事を補い合える仕組みづくりを進めています。いつ、誰が休んでも、滞りなく業務が進められる体制を整えていきたいです。(齋藤)
Q5.今後の目標を教えてください。
優秀な人材の雇用を維持するためには、産休・育休から復帰した後も不安なく働ける企業風土づくりが必須です。今後も教育や周知を継続し、男性社員が育休取得について人事に気軽に相談できる環境を整えていきたいと思います。そして、育休取得が男女関係なく「当たり前の選択肢」になるように、役員含めて全社的に制度の意義を伝え続けたいです。(阿部)
若手同士で話をする機会が多く、飲み会も多い職場なので、育休取得や子育ての楽しい話、苦労話なんかを気軽に話していけたらと思います。一つのモデルケースとして、部署を超えて先輩後輩に情報を共有していきたいです。(齋藤)
Q6.これから男性育休の取得促進に取り組む企業、育休取得予定の男性へメッセージをお願いします。
「男性が育休をとって何の意味があるの?」という方もいらっしゃいますが、家事育児はもちろん、孤独な妻に寄り添うなど、できることはたくさんあります。私自身も育児中は「大人が一緒にいてくれると心強い」と常々思っていました。社員一人ひとりに最大限のパフォーマンスを発揮してもらうための制度作りは、企業が成長するための投資とも言えます。社内で男性育休への抵抗感があるようなら、「まずは一週間」といった具合に短期間の取得を勧めることから始めてみてはいかがでしょうか?(阿部)
男性の育休はまだ世間的に理解が深まっていないのは確かですが、育休を取得することで、かけがえのない家族との時間が手に入ります。子どもの成長をすぐそばで感じることができて、必死に子どもを生んでくれた妻に寄り添える。こんな機会は二度となく、逃してしまうのはもったいないことです。臆せず育休制度を活用して、ご自身の経験を周りに伝えていってほしいです。一緒に子育ての輪を広げていきましょう。(齋藤)
(2024年7月取材)
(インタビュアー:齋藤 幸子 撮影:古関 マナミ)
基本情報
- 企業・団体名
- ムネカタ株式会社
- 代表者
- 代表取締役 佐藤正幸
- 事業内容
- ・プラスチック用精密金型の設計、製造
・自動車エンジン部品などのプラスチック成形加工、塗装
・新素材の開発
・樹脂溶着機の設計、製作、販売
・建設現場用センサの開発、販売
- 所在地
- 福島県福島市蓬莱町一丁目11番1号
- TEL
- 024-547-2600
- FAX
- 024-547-2601