「子育てサポート企業」のロールモデルとして、子育てしながらキャリアも築く姿を社内外に発信したい

大野智子

株式会社福島中央テレビ 経営企画局 経営企画部 人事担当部長

茨城県出身。郡山市在住。50歳。1996年に入社し報道部へ配属。25年間のアナウンサー時代には「ゴジてれChu!」MC、「ズームイン!!SUPER」福島キャスター、スポーツ中継リポーターなどを担当。2018年に産休・育休を取得し、2020年に職場復帰。2021年に経営企画部に異動し、現在は人事担当部長として採用などを担当。1児の母。

Q1. 現在の仕事内容と、やりがいを教えてください。

現在の仕事は給与、社会保険、福利厚生、健康経営など人事全般と採用業務です。採用業務では、一生懸命な学生に出会えるとやりがいを感じます。
仕事と家庭の両立ができる職場環境作りに力を入れ、男女共に育児休業を希望する方のサポートも行っています。事前相談窓口の存在を社内に周知し、育休取得が当たり前の雰囲気づくりを徹底してきたおかげで、「育休ならまず大野に相談!」という空気も醸成されてきました。「安心して育休が取れます」との声を頂くと、とても嬉しく思います。

Q2.ふくしま子育て応援隊とはどんな取り組みでしょうか?

「子どもとママ・パパを笑顔に」を合言葉に、弊社と福島民友新聞社で2023年春から始めたプロジェクトです。
新聞の紙面とテレビ放送で月に1回、同じ日に子育て特集を組んだり、SNSで子育て情報発信をしたりするほか、イベントを開催しています。私は主にイベントチームの一員として、娘の意見も参考にしながら、スライムやバスボム作りなど親子向けワークショップの発案を担当しています。
この活動のゴールは、子どもとママ・パパの笑顔が増えて子育てしやすい社会になること。多くの賛同者を集め、持続可能な取り組みにしていくことが目標です。

Q3.くるみん認定を受けた経緯を教えてください。

時短勤務を選択できる時期を従来の「子が3歳になるまで」から「小学校入学前まで」に拡大するなど、仕事と子育ての両立支援や多様な働き方の拡充の取り組みが評価され、2022年にくるみん認定を受けました。
県内の民報4局では弊社が初の認定となります。就業時間が不規則なマスコミ業界だからこそ、率先して弊社が取得することで、「みんなで子どもを育てていこう」という姿勢を社内外に発信していきたいです。

Q4. 男性育休取得促進に関する取り組みを教えてください。

配偶者の出産から8週間以内に2週間以上の育休を取得した男性社員に10万円を支給する「中テレ育パパサポート奨励金」という独自制度を創設しました。他にも、男性育休取得者の声を掲載した「中テレ育PAPA通信」を不定期発行しています。
番組ディレクターや報道記者、アナウンサーなど、第一線で働く男性制作陣も、抜けた人のカバーをしあいながら、数か月単位で育休を取得しています。くるみん認定を受けた2022年度の男性育休取得率は42%でしたが、翌年度は75%、昨年度はついに100%を達成しています。

Q5. 仕事と家庭は両立できていますか?

本社では20年ぶりとなった育休を私がとることや、お互い遠方の両親に頼れない環境での夫婦の子育てに不安はありましたが、育休明けの1年は時短勤務を利用し、ペースが掴めてからフルタイムに復帰しました。
育休から復帰して4年目になりますが、今でも幼稚園のお迎えのため、急な残業は控えるなど職場の理解をいただき、夫と分担しながら何とか両立できています。

Q6. 今後の目標を教えてください。

「子育てサポート企業」として、社内制度の見直しや、一人ひとりの社員に寄り添うことで、安心して子育てしながら働くことができる環境作りに引き続き力を入れていきます。「ふくしま子育て応援隊」のキャンペーンなどを通じて、子育てしやすい社会作りに貢献したいとも考えています。
個人としては、今しか出来ない子育てを楽しみつつ、後に続く後輩たちにとって、子育てしながらキャリアも築くロールモデルとなれるよう努力していきます。実際に、以前は結婚や妊娠、配偶者の転勤などのタイミングで退職する女性がほとんどでしたが、現在では育休取得後に復帰を果たす女性が増えています。

Q7. 自身のキャリアに悩んでいる女性へメッセージをお願いします。

私自身、アナウンサーとしてやりたい仕事をようやくできるようになったのが30代でした。「今は仕事を手放したくない」と30代は仕事に突き進み、三度の流産を経て、40代で運よく子どもを授かることができました。子を持つタイミングや選択はそれぞれですが、私は、出産後もこれまでの経験を活かしながら、管理職として新しいやりがいやキャリアを作ることができています。今は人生の中で一番幸せな時間を過ごしていると感じています。
キャリアも子育てもどちらも希望する方には、行政や周囲の力を借りながら、ぜひ欲張って両方手にしてほしいです。

学生インタビュー 矢内紗加さん(福島大学3年)

Q. 県内就職希望の若者を増やすために必要だと思うことは何ですか。やはり福利厚生が充実した企業を選ぶべきでしょうか。

県内にもっと魅力的かつ働きやすい環境が整っている企業が増えて欲しいです。母親目線では、わが子がやりたいことができる企業が地元にたくさんあり、地元で就職してもらえれば嬉しいですし、何より安心です。
若者が就職先を選ぶ時に重視するべきポイントは、「待遇や福利厚生などの制度がある企業か」ではなく、「その制度がきちんと活用されている企業か」です。その企業で働く先輩方の声に耳を傾け、10年先、20年先の自分の働き方を考えていくことが大切です。

インタビューを終えて

大野さんと直接お話して、率直にかっこいい女性だなと感じました。子育てをしながらのキャリア形成は誰にでもできることではないと思います。自分の生き方だけに目を向けるのではなく、後に続く後輩たちや、子育てのしやすい社会のために努力する姿に感動しました。
また、子育て中の不安や自分のキャリアに悩んだ時のお話も聞くことができました。直接インタビューしたからこそ、得ることができた情報もたくさんあり、とても勉強になりました。
これから社会に出て働く身として、そして同じ女性として、私も大野さんのような真っ直ぐな生き方をしたいと強く思いました。貴重なお時間をありがとうございました。

(2024年9月取材)

(インタビュアー:齋藤 幸子  撮影:古関 マナミ)

基本情報

企業・団体名
株式会社 福島中央テレビ
代表者
代表取締役社長 尾崎 和典
事業内容
放送法による基幹放送事業、放送番組の制作・販売、出版物・グッズなどの制作・販売、文化・スポーツなどの各種催物の企画実施、広告宣伝に関する企画・制作並びに広告代理店事業、インターネットメディア事業
所在地
福島県郡山市池ノ台13-23
FAX