動画で地元企業の魅力をPR。若者と企業の未来をつなぎたい

熊田舞弥

Felis株式会社 代表取締役

いわき市出身、22歳。福島工業高等専門学校ビジネスコミュニケーション科、同校専攻科ビジネスコミュニケーション学を専攻し2024年に卒業。専攻科在学中の2023年6月、学生に向けた企業PR動画作成の事業をメインに「Felis株式会社」を設立。2024年には東京大学アイソトープ総合センター特任研究員に就任し、復興知事業に参加し、小学生向けの動画作成教材の開発に取り組んでいる。趣味はゲームとアニメ鑑賞。

Q1. 活動のきっかけや仕事内容を教えてください。

地元に魅力的な企業がたくさんあるのに、若者が首都圏で就職してしまうことに課題を感じたことがきっかけです。

高専在学中、所属する研究室の芥川一則先生のもとには、採用の相談に地元の企業さんが多くいらっしゃいました。話を聞かせてもらうと、人手不足や就職をしてもすぐに辞めてしまうなどの課題があり、情報不足から若い人材が県外に流失している現状を知りました。

そんなとき、コロナのため従来の海外での活動ができなくなりました。そこで指導教員が企業の皆様のために企業紹介活動の提案を行ない、学生向けのPR動画を作成する機会をいただきました。この経験をきっかけに「地元企業の魅力をもっと知ってもらえたら、県内で就職したいと思う若者が増えるかもしれない」と思い、企業のPR動画をメインに起業しました。若者目線に重点を置いたPR動画が特徴です。

Q2.県内で働くこと(起業)を決めた理由を教えてください。

実は私も東京に憧れていた時期があって、卒業したら県外企業に就職しようと考えていました。でも、インターンシップで都内に2週間ほど滞在してみたら、寂しくて仕方なくて……。ルーティンワークや資料作成などの業務も向かず、東京で暮らすのも会社に勤めるのも難しいと感じてしまいました。

どうしたらいいだろうと将来に悩んでいたときに、芥川先生(写真:右)が「起業という道もあるよ」とアドバイスをくださいました。

地元企業の就職活動は買い手市場でした。その点について私も課題があると考えていました。私の持てる力で地域の役に立ちたいと「Felis株式会社」を立ち上げることにしました。

Q3.学生で起業することに不安はありませんでしたか?

不安だらけでした。でも、まずは挑戦してみようと思いました。そう思えたのは母の存在が大きかったです。

母は働きながら自分の興味のあるネイルについて学び自宅でお店を開業しました。自分の力で道を切り拓いて、好きなことを仕事にしている母の背中を見てきたので、「人生なんとでもなる!」と思えるようになりました。高専在学中に起業をした人はまだ誰もいなかったので、どうせやるなら一番を目指してチャレンジしてみようと思いました。両親も応援してくれています。

Q4. 今後の目標・ビジョンを教えてください。

働き方の選択肢を広げられるような会社にしたいと思っています。

今までバリバリ働いてきた女性が、出産・育児を経て社会復帰が難しかったり、条件に合う仕事が見つからなかったりという状況があることを母から聞きました。動画編集やクリエイティブな仕事であれば、スキマ時間や短時間でもできるので子育てとの両立も可能です。今後は働き方の仕組みを構築して、チームで仕事をしていきたいです。

また、様々な企業さんとお付き合いするなかで、伝統的な産業の後継者が不足しているという課題にも直面しました。今後は採用PRだけでなく、後継者不足の産業に役立てるようなコンテンツも作っていきたいです。

Q5. 県内での就職や起業を考えている同世代の女性へメッセージをお願いします。

私は、福島で就職や起業することにすごくメリットを感じています。首都圏で生活するよりもお金の面でも安心ですし、人との関係も構築しやすいですよね。それに、自分の生まれた場所でビジネスをすることで地域貢献にもつながります。

まずは、やりたいことがあるならチャレンジしてみてください。人生は何回でもやり直しができます。チャレンジしない後悔を抱えるより、一歩踏み出す勇気を持ってみてほしいです。

(2024年6月取材)

(インタビュアー:奥村 サヤ  撮影:古関 マナミ)

基本情報

企業・団体名
Felis株式会社
代表者
代表取締役社長 熊田舞弥
事業内容
企業広報、動画制作
所在地
FAX
URL

Mail                  felis.mayakumada@gmail.com