普通の主婦からブルーベリー農家に。ブルーベリーで癒し体験、笑顔を届けたい!

城清里仲

ベリーズパーク郡山 ブルーベリーコンシェルジュ

神奈川県生まれ、郡山市育ち。39歳。大学卒業後、都内で助産師として働き、結婚・病気のため退職。闘病や夫の赴任に伴う海外生活を経て2014年に郡山にUターンするも、周りに頼れず産後うつに。そのなか出会ったブルーベリーに感動してブルーベリー農家になることを決意し、2018年に新規就農。2021年にベリーズパーク郡山を開園し、ブルーベリー狩り体験とカフェの運営を行う。3児の母。

Q1.ベリーズパーク郡山をはじめた経緯と、仕事内容を教えてください。

きっかけは第2子出産後に陥った産後うつの中、たまたま出かけたブルーベリー狩りでの体験でした。鼻に抜けるアロマ、はじける果汁感、爽やかさ、味の濃さを力強く感じるとともに、うつうつとした気持ちがすべて吹き飛んだような感覚があり、大地のエネルギーに感動したのを今でも鮮明に覚えています。

助産師の時から見てきた大変な思いをしているママ達に、このような癒しの体験を届け、笑顔にできれば。そんな想いで就農準備をはじめると、体調も回復していきました。

仕事内容は、ブルーベリーの木々の世話から、土木作業、収穫、出荷、販売、カフェ運営、加工品製造から広報にいたるまで、農園にかかわるすべてです。家族や知り合いに一部手伝ってもらっているものの、基本的にはすべて一人で行っています。

ブルーベリー×きよミルクパフェ

Q2.ふくしまベンチャーアワード2023オーディエンス賞 (※) を受賞されたビジネスプランについて教えてください。

「ブルーベリーを通して幸せあふれる命のつながりに貢献する」という理念のもと、「ママに健康と笑顔を 家族に想い出と幸せを」というビジョンを掲げ、家族みんなが楽しめる農園をつくるプランを発表しました。美味しさだけでなく「幸せを感じられる空間と体験を提供したい」という想いが観客に届き、受賞につながったのかなと思います。

当園では日本初の「ブルーベリーミュージアム」として、厳選した105品種の食べ比べができます。より楽しんでもらえるよう、すべての品種に独自のキャラクターを考え、味や香りなどの説明を加えたキャラクター図鑑作成をプランに盛り込みました。ブルーベリーをもっと身近に感じてもらえれば嬉しいです。

※ オーディエンス賞:一般の方からの投票で決まる賞

Q3.仕事と家庭はどのように両立していますか?

私は仕事も家族との時間も、どちらも妥協したくないんです。日中は農園の手入れ、夜はメニュー開発や事務作業など、仕事は山ほどあります。夫は単身赴任中で週末に帰ってきてくれますが、平日は主に一人で子ども達の面倒を見ています。

子ども達は、農園関連の作業を手伝ってくれるなど農園を中心に一緒に過ごしたり、お弁当におかずを詰めるなど家事もたくさん助けてくれます。でも仕事ばかりで寂しい思いはさせたくないので、農園以外で一緒に過ごす時間を週に1度はとるなど、なんとか頑張っています!

Q4.女性経営者としての今後の目標、ビジョンを教えてください。

今年は、選果や加工のための場所を整備して雇用の下準備を進め、生産体制を整えたいと考えています。その他にも、ブルーベリー105品種の人気投票や、シーズンオフにも楽しめる加工品開発、訪れた人が地域全体を楽しめるような周辺マップ作り、敷地内にツリーハウスを作ってコンサートを開きたいなど、アイデアはたくさんあります。

農園を訪れた子ども達が、成長して友達と、恋人と、親になりまた子ども達を連れてきてくれるような…。楽しい時も大変な時もいつもそこにある、笑顔がつながる場所になりたいと思っています。

Q5.経営者を目指す女性へメッセージをお願いします。

様々な問題を抱え、多くの壁にぶつかりながら進むのは本当に大変なことです。私には初め、人脈も資金も、知識・経験、体力も何もありませんでした。周囲に「無理だよ」と言われながらも諦めずに進んでこられたのは、強い想いがあったからだと思います。理想の未来を思い描きながら今日できることを全力でやっていると、サポートしてくれる人に出会え、やがて家族・地域・社会にとってかけがえのないピースになっていきますよ。

(2024年6月取材)

(インタビュアー:貫井 暖香  撮影:古関 マナミ)

基本情報

企業・団体名
ベリーズパーク郡山
代表者
城清里仲
事業内容
ブルーベリー観光農園、カフェ
所在地
福島県郡山市片平町字鍛治田 62
FAX